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遺言書を書こう

ここ数年、遺産分割がすんなりと行われないケースが増えてきました。「我が家は大丈夫」と言っていた家でも、残念ながら泥沼の相続裁判になったケースも見てきました。遺産分割争いは、決して資産家だけの話しではありません。一般のご家庭でも、揉めるケースは増えています。

「相続→争続→争族」とならないためにも、遺言書を書くのは財産を残される方の義務だと思ってください。

 

「爽続」のススメ

下記のような方々は、遺言書を書くことを強くおすすめします。

①成功された事業や先祖代々引き継がれてきた財産を守るために、後継者に承継させたい方
②ご相続人ごとに特定の財産を自分の意思で指定し相続させたい方
③連れ合いの老後の生活安定のために、多くの財産を相続させたい方
④子供がいないので連れ合いに全財産を相続させたい方
⑤お世話になった人、お孫さんに、財産を贈りたい方

遺言書は、お子様やご家族などに対する人生最後の愛情表現です。

財産の承継だけではなく、「爽続」とするためにも、あなたの想いをいっぱい込めたラブレターを作成してください。

 

遺言相続と法定相続

遺言相続とは、被相続人の遺言に従って、遺産を承継する方法です。法定相続とは、遺言がなかった場合に民法が定めたルールに従い、相続人全員の協議により遺産を承継する方法です。

法律上は遺言相続が優先されますが、まだまだ遺言を作成する習慣が少ないため、現状は法定相続が主流となっております。

遺言書を書いておけば、その遺言の効力が法定相続に優先しますので、あなたの意思にそった財産の分配が可能です。家庭の実情などにあわせた合理的な配分ができることになります。

法定相続の場合、全ての相続人で協議しなければなりません。全ての方にとって、満足な相続ということは稀になります。したがって、その家庭の事情にそぐわない内容になることが多くなります。また、相談する専門家によって、相続人間の満足度に雲泥の差がでることもしばしばあります。

 

遺言執行者とは

遺言の内容を実現するには、不動産の所有権移転登記や預貯金の解約・名義変更など様々な手続きが必要となります。

これらの各手続きを、第三者の立場から公平に実行してくれる人を遺言執行者といいます。遺言執行者は通常、遺言書のなかで指定されますが、遺言執行者が指定されていないとき又は遺言執行者が亡くなったときは、家庭裁判所が利害関係人の申立てにより遺言執行者を選任します。

遺言執行者を指定しなくても、相続人が自分たちで執行できるものもありますが、遺言はしばしば一部の相続人の意向に反する内容となることもあり、相続人全員の協力が得られない場合があります。このような場合には、遺言執行者によって遺言の執行をしてもらう必要が生じます。

 

遺言書の書式

遺言は、遺言者の真意を正確に伝えることと、相続人間での争いを避けることが、最も重要となります。したがって民法では、法律に定める一定の方式による遺言でなければ無効とされております。そのため、基本的には書面に記載することが要求されています。民法に定められた方式にしたがって遺言が記載された書面のことを、法律上の「遺言書」といいます。

遺言の方式には、大きく分けて「普通方式」と「特別方式」があります。

「特別方式」は遭難した時など緊急事態に至った場合に限り認められている方式ですので、ここでは省略します。

普通方式による遺言としては、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3つの方法があります。この中で多く利用されているものは、自筆証書遺言と公正証書遺言になります。

 

①自筆証書遺言

●長所

・遺言者が自分1人で作成でき、簡単で費用もかかりません。
・遺言書を作成したことや、遺言書の内容について秘密にしておくことができます。

●短所

・必ず自筆で作る必要があります。パソコンなどで作ったものは無効となります。
・それ以外にも、法律に定められた要件が守られていなかったりした場合は、その遺言が無効になる可能性があります。
・自分以外の人による、隠とく・偽造・変造・破棄などの危険性があります。
・秘密にすることにより、紛失したり相続人に発見されなかったりすることがあります。

●検認手続き

封印がされている遺言書については、勝手に開封することはできません。必ず相続人の立会いの下で家庭裁判所において開封することになります。

また、遺言書の偽造、変造を防止するために、家庭裁判所の検認を受ける必要があります。検認は証拠保全手続きの一つとなります。

家庭裁判所が相続人全員と利害関係人の立ち会いのもとで、申立人(保管者又は発見者)に対し、遺言書を保管するに至る事情や発見するに至った経緯、および申立人と遺言者との関係などを聴取し、「検認調書」を作成します。この検認が終了した後、すぐに遺言の執行を行うことができるようになります。

なお、この検認の手続きをしなかったからといって、遺言書の効力そのものが否定されるわけではありませんが、そのまま執行すると過料に処せられたり、遺言書の成立についてあらぬ疑いをかけられたりしますので、必ずこの手続きをとるようにしてください。

 

②公正証書遺言

●長所

・公証人が作成するので方式の不備がなく遺言者の意思が正確に伝えられます。
・原本が公証役場に保管されるため、紛失、隠とく、破棄などの危険性がありません。
・検認手続きは不要です。
・病気などで字が書けなくても作成できます。

●短所

・遺言書作成の際、証人(2人以上)の立ち会いが必要です。
・公正証書作成に要する費用がかかります。

●手続き等

公正証書遺言は、公証人により作成してもらう遺言方法です。2名以上の証人の立ち会いのもとで、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭もしくは通訳人の通訳による申述または自書で遺言の内容を伝え、公証人がこれを筆記のうえ、遺言者および証人に読み聞かせ、または通訳人の通訳により内容を伝えます。

遺言者および証人が筆記の正確であることを承認した後、各自これに署名捺印します。公証人が法律の規定により作成したことを付記し、署名捺印したうえ、正本と謄本が遺言者へ渡されます。なお、原本は公証役場に保管されます。

公正証書遺言を作成するためには、以下の書類が必要となります。
・遺言者の戸籍謄本、印鑑証明書、実印
・遺言により財産を相続する人の戸籍謄本、住民票など(遺言者との関係が分かる書類)
・相続させる財産が不動産の場合は、登記簿謄本、固定資産評価証明書など
・不動産以外の相続させる重要な財産について、その内容が分かる資料

 

③秘密証書遺言

●長所

・遺言の内容を秘密にすることができます。
・偽造、変造などが防げます。

●短所

・遺言書の内容の不備、不明確さにより、遺言者の意思が反映されないことがあります。
・家庭裁判所で検認手続きが必要です。
・紛失、隠とくの危険性があります。

●手続き等

秘密証書遺言は、遺言の内容を誰にも知られないように秘密にしておくため、遺言書の封入された封筒を公証人により公証しておく遺言の方式です。

遺言者は、公証人と証人2名以上の前で、自分の遺言である旨の口述をします。それを公証人が封筒に記載のうえ、提出された日付を記入し、遺言者・証人とともに署名捺印します。

この場合の遺言書は、氏名以外は自筆である必要はなく、パソコンなどで作ったものでもかまいません。遺言書を入れて封をした封筒には、遺言書に捺印した印章と同じ印章で封印します。