相続税申告の依頼があり、不動産の評価や上場株式の評価などの計算を進めています。
毎年の相続税の試算をしていたため、昨年の資料と見比べて、生前にお聞きしていた財産についての資料をお預かりしているか、確認をしていました。
また、昨年の評価額と今年の評価額(=相続税申告の評価額)に大きなズレが生じていないか確認していたところ、とある上場株式について評価額に大きなズレがありました。
何か間違えたか?と思い、もう一度資料を確認したところ、昨年の評価額も今年の評価額も間違っていませんでした。保有株式数は変わっていなかったため、つまりはその上場株式の株価が大幅に上昇していたのです。
2024年8月16日の日経平均株価の終値は38,062円でした。1年前の2023年8月16日の終値は31,766円でしたので、1年間で約6,300円上昇したことになります。率でいえば約20%の上昇です。
この日経平均株価を相続財産である上場株式の株価として考えてみましょう。
仮に500株保有していたとしたら、相続税申告の評価額は 38,062円×500株=19,031,000円 となります。
1年前の評価額は 31,766円×500株=15,883,000円 ですので、評価額は3,148,000円上昇したことになり、相続税の税率が20%であれば税額は629,600円増えることになります。
なお、相続税の申告における上場株式の評価額は、課税時期(=お亡くなりになった日)の金融商品取引所が公表する最終価格によって評価します。
ただし、課税時期の最終価格が、次の3つの価額のうち最も低い価額と比べて高い場合は、その最も低い価額により評価します。
① 課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額
② 課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額
③ 課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額
お亡くなりになった日の株価がたまたま高値だった場合を考慮して、上記の月平均額で評価することができますが、そもそも毎日の株価が高ければ月平均額も高くなるわけですので、株価の上昇局面においては、納税額が増加するという結果になってしまいます。
株価が上昇することは財産価値が高まることになりますので、喜ばしいことではありますが、相続税の申告という観点から考えると、株価の上昇=納税額の増加となりますので、非常に悩ましいものだと改めて思いました。