初任給から引かれるもの

ATCの仕事

5月に入り、新社会人の皆さんは初任給を頂いたかと思いますが、「総支給額からいろいろと引かれていたけど、よくわからなかった。」という方も多いことでしょう。

厚生労働省の調査によると令和5年の平均初任給は、大学卒で237,300円でした(「令和5年賃金構造基本統計調査(初任給)」より)。しかし、これは額面給与で手取り給与とは異なります。

額面給与とは、基本給に残業代、交通費や各種手当を合計したものです。「額面金額」や「額面」とも呼ばれ、一般的に「月収」や「年収」はこの金額のことを指します。

また「手取り給与」とは、「基本給+各種手当-社会保険料や税金など」のことを指します。差し引かれる(控除される)主なものは以下の通りです。

1. 社会保険料
まず、毎月の額面給与から引かれるものの1つ目は「社会保険料」です。

社会保険料には、以下の3つの項目があります(これ以外にも、年齢によって介護保険料が引かれる場合もあります)。

①健康保険料

医療保険制度の保険料。支払額の半分は会社が負担しています。金額は、健康保険組合もしくは全国健康保険協会(協会けんぽ)といった会社の加入する保険者によって異なります。

②厚生年金保険料

年金を支給してもらうための掛け金です。こちらも支払額の半分は会社が負担。金額は、額面給与に一定の保険料率を掛けて算出します。

③雇用保険料

失業給付などを受けるための保険のことです。金額の算出方法は、額面給与に一定の保険料率を掛けて算出します。保険料率は、「一般の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」と3種類に分けられており、事業の種類によって異なります。

2. 税金
続いて、額面給与から引かれるものの2つ目は「税金」です。一般的に引かれる税金は、以下の2項目です。

①所得税

額面給与に掛かる税金のこと。額面給与から社会保険料を控除した後の額に対して税率が決まっています。また、所得税は扶養家族などの数によっても変わってきます

②住民税

都道府県が徴収する都道府県民税と、市町村が徴収する市町村民税(東京23区は特別区民税)の総称。こちらも、額面給与から社会保険料を控除した後の額に対して税率が決まっています。詳しい税率は、住んでいる場所によって異なります。

ただし、住民税については、前年の所得に対して課せられるものであるため、額面給与から引かれるのは、通常は「入社から2年目の6月」からになります。

いかがだったでしょうか。社会保険料はかなり高額ですが、健康保険・厚生年金保険料は会社が半分負担してくれていますし、雇用保険料は会社が半分以上負担してくれています。こうしてみると我が国の社会保障制度は、国民一人一人だけではなく国内のすべての会社によっても支えられていることがお分かり頂けたかと思います。

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