インボイス制度について

スキルアップ

1.はじめに

最近、会計処理に際して大きな影響を及ぼしている改正点があります。
それは、消費税のインボイス制度です。
中小企業や個人事業主への影響、
そして必要な準備についての情報が頻繁に取り上げられています。
新制度の理解と適応が、
事業者にとって重要な課題となっているのです。
インボイスは、消費税法において適格請求書という名称で定義されています。
実はこの制度、1989年の消費税導入の時にも議論されていました。

2.インボイス制度の影響

事業者における消費税の納税額を、簡単に説明すると
仮受消費税等-仮払消費税等=消費税の納税額
によって計算されます。
今回の改正で、免税事業者はインボイスを発行できないことが定められました。
そして、インボイスではない領収書や請求書の経費は、
仮に消費税相当額の記載があっても、
仮払消費税等と認めない、というルールに改正されています。
そうであるとすると、発注する側(経費を支払う側)は同じ内容なら
インボイスを発行できる事業者と取引しようとします。
そうなると、今まで免税事業者だった事業者は、
仕事を失うくらいなら、
インボイス対応の事業者となって消費税を納税するようにならざるを得ない、
と考える必要があるかもしれません。
ここまでの内容を踏まえると、
賛否が分かれるところと思います。
もともと消費税を納税している事業者の経営陣や経理部としては、
当然の動きと捉えるのかもしれません。
一方、今まで免税事業者だった方とすれば、
消費税の導入時に、免税点を導入した制度を今更変更され、
手取りを10%減らされることとなった、
と考えれば反対とする意見が大きくなるとも思います。
難解な制度となっていながら、
経済活動に重大な影響がある制度なので、
将来を見据えて事業活動をしていく必要があります。

3.おわりに

インボイス制度は非常にわかりづらい制度です。
制度趣旨や概要を説明するだけでもかなり言葉を重ねる必要があります。
弊社は当然ながら顧客の税務代理人であるため、
適正な範囲で納税額を最小に留めるように説明していく必要があります。
インボイス制度は基本的に納税額が増える改正であるため、
その金額が大きくならないように、
例えば経費精算ルールの改訂などのご案内をしています。
顧客にご納得いただくためには制度そのものの知識だけではなく、
時に制度の創設趣旨や背景、
歴史なども必要であったりしますので、
そういったことも含め社内の研修では説明、議論していければと考えています。

※具体的な事案に対して適用する場合は、
顧問税理士等にご相談ください。
この記事を参考にした結果発生した損害について、
筆者及び当社は責任を負いかねますのでご理解のほどお願いいたします。
※2024年4月1日時点の法令等に基づいて執筆していますのでご留意ください。

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