将来年金いくらもらえる?

スキルアップ

こんにちは!社会保険労務士のOBです。若い皆さんには、随分先の話でピンとこないかもしれませんが
このほど私たちが将来どれだけ年金を受け取ることができるのか、最新の試算が明らかになりました。
試算では長期の実質経済成長率を、プラス1.6%から、マイナス0.7%までの4つのケースを想定しています。

厚生労働省では、5年に一度公的年金の財政状況をチェックし、将来の給付水準の見通しを発表しています。
今の年金制度は、将来に備えて、給付水準を物価や賃金の上昇率よりも低く抑える「マクロ経済スライド」
が導入されていますが、現役世代の平均収入を100%として、夫婦2人のモデル世帯が受け取る年金額の割合
=「所得代替率」は、50%を下回らないようにすることが法律で約束されています。
 
今回の試算では世代や性別ごとに65歳になった時点での平均の年金額の見通しも初めて示されました。それ
によると若い世代ほど、厚生年金の加入期間が長くなる傾向があることから平均額が高くなり、女性の年金
額の上昇も顕著になっています。例えば年金額が月額7万円未満の人の割合は、今年度65歳になる女性の25.3
%に上るのに対し、今年度20歳になる女性では、過去30年の経済状況が続いた場合でも、12.8%と半分近く
に減る見通しです。
 
次に年代による65歳から受け取れる年金の月額を見てみましょう。

経済が順調で長期の実質経済成長率が1.1%のケースでは
▽今年度50歳になる男性は15万6000円、女性は10万9000円
▽40歳になる男性は18万円、女性は13万2000円
▽30歳になる男性は21万6000円、女性は16万4000円
▽20歳になる男性は25万2000円、女性は19万8000円となりました。

また、過去30年間と同じ程度の経済成長率がマイナス0.1%のケースでは、
▽今年度50歳になる男性は14万1000円、女性は9万8000円
▽40歳になる男性は14万1000円、女性は9万9000円
▽30歳になる男性は14万7000円、女性は10万7000円
▽20歳になる男性は15万5000円、女性は11万6000円でした。

厚生労働省によると、今回の検証結果について、女性や高齢者の労働参加が進んだことや外国人の増加で、少子高齢
化の影響が緩和されたことに加え、株価の上昇を背景に積立金が増えたことなどから、前回・5年前の検証結果
より将来の見通しが改善されたとしています。

明るい兆しが見えてきたと喜びたいところですが、検証の仮定が甘いのではという専門家の指摘があります。
それは人口の仮定です。仮定では2070年時点の合計特殊出生率を1.36(昨年は1.20)、平均寿命を男性が
85.9歳、女性が91.9歳、それに外国人の人口は、2040年まで毎年16万4000人の入国超過となることを標準とし
ています。

今後もさらに労働参加を促して支え手を増やしていけるよう、短時間労働者などの厚生年金への加入要件の緩和が予定
されていますし、働いて一定の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金制度」の撤廃といった制度改正を着実
に進めるべきだという声ももあります。いずれにせよ政府には国民の反発を過度におもんぱかって、公的年金制度改革
を進めなかった結果、公的年金制度が破綻することがないようにしていただきたいものです。

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